ここからは、情報システム戦略を解説します。情報システム戦略とは、情報システムを活用した機能別戦略です。この戦略は上位にある企業戦略、もしくは事業戦略を実現するための戦略です。なお、ITパスポート試験では単に「情報戦略」と表記されることもあります。

 参照元:いちばんやさしい ITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集

情報システム戦略の立案時の注意点

情報システム戦略を立案する際は、次の3点を考慮して検討することが大切です。

(1)情報システムのあるべき姿を明確にする
(2)情報システム全体を最適化する
(3)経営戦略に基づいて情報システム戦略を設定する

まず(1)の「あるべき姿」というのは目標や理想形です。情報システムが将来的
にどのようになれば理想なのかをはっきりさせることが重要です。理想を明確にす
れば現状との差(ギャップ)もはっきりします。

次に(2)の「全体最適」です。全体最適の反対の言葉は「部分最適」です。部分最
適とは、現場からの不満を吸い上げて、部門ごとにシステムを導入して効率化を図
ることです。この部分最適を進めると、その部門の効率は改善しますが、企業全体
としては、効率化とは反対に、非効率化が進むことがあります。なぜなら、その部
門にとって都合の良いシステムが別の部門にとって都合が良いとは限らないからで
す。このため、情報システム戦略を立案する際は、部分最適ではなく、常に全体最
適を考えることが重要になります。
それから(3)の「経営戦略に基づいて」も重要です。情報システム戦略は、上位
戦略である企業戦略と事業戦略を含む経営戦略に沿う内容であることが必要です。
万がー、経営戦略と矛盾するような戦略を立ててしまうと、経営戦略と情報システ
ム戦略が別々の方向に進むことになり、ちぐはぐな企業活動になってしまいます。
情報システム全体を最適化する具体的な手法が、次項で解説する「EA」です。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)

EA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)とは、企業や
政府など、大きな組織の情報システムを最適化するための手法です。
下図を見てください。部分最適化が進んだ組織(下図·左側)では、システムが
縦割りになっていて、横とのつながりがありません。つまり、システムを個別にし
か見ていません。
一方、エンタープライズアーキテクチャ(下図·右側)では、システムの要素を
4つに分類して、複数のシステムを横断的に分析します。

エンタープライズアーキテクチャとエンタープライズサーチ

EAでは、「現状」と「あるべき姿」を比較して、差を明確にします。そのため、最
初に「現状」を把握すべく、社内のデータを集めて分析する必要があります。
エンタープライズサーチとは、企業内のさまざまなシステムに蓄積されている
データを、一元的に検索するための仕組みです。

SoEとSOR

社内の都合だけでなく、顧客視点を取り入れたシステムのことを「SoE」といい
ます。SoE(Systems of Engagement)では、ユーザーのニーズにあったサービス
やシステムを構築することで、ユーザーとのつながり(Engagement)を強化しま
す。一方、従来のシステムのように正しく記録(Record)できることだけを目的としたシステムのことを「SoR」(Systems of Record)といいます。