AI

基本情報技術者試験におけるAI(人工知能)は、テクノロジ系やストラテジ系で毎年必ず出題される超重要テーマです。
試験では、難しい数式は出ません。「キーワードの意味」「具体的な活用例」を正しく結びつける問題がほとんどです。
合格のために絶対に落とせない重要用語を、分かりやすく整理して解説します。
 
AIはArtificial Intelligenceの頭文字で、人間の知的な振る舞いをコンピュータ上で再現する技術のことを指します。
AIの主な用途は以下のとおりです。
 
  • 画像の認識・合成・・・スマートフォンの顔認識やナンバープレート認識システム、アート作品の生成など
  • 自然言語処理・・・検索エンジンでの解析、WEBサイトの機械翻訳、チャットボット
  • 音声の認識・合成・・・Webサイトの読み上げ機能、ナレータの代わりとなる音声の作成

各用語の詳細は以下のとおりです。

  • AI(人工知能)
    • 人間の知的な振る舞いをコンピュータに真似させる技術の総称です。 

  • 機械学習(マシンラーニング)
    • コンピュータに大量のデータを読み込ませ、人間が指示しなくてもデータ背景にある「パターン」や「ルール」を自ら見つけ出させる手法です。

  • ディープラーニング(深層学習)
    • 機械学習の進化系です。
    • 人間の脳の神経回路を真似したニューラルネットワークを多層(深く)した仕組みです。
    • 特徴量(どこに注目して判断すべきかという基準)を、AI自らが自動で見つけ出す点が最大の特徴です。
  • 生成AI(ジェネレーティブAI)
    • テキスト、画像、プログラム、音声などを「新しく作り出す」AIのことです。
    • 例:ChatGPTなどの文章生成、Midjourneyなどの画像生成。

  • LLM(大規模言語モデル)
    • 大量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を生成・理解できるAIのモデルです。生成AIの文章版の土台となる技術です。

  • プロンプトエンジニアリング
    • 生成AIから自分の欲しい結果を正確に引き出すために、「指示文(プロンプト)」を工夫・設計する技術のことです。

ニューラルネットワーク

ニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路を模した数理モデルのことです。

モデル

基本情報技術者試験(FE)における「モデル(Model)」とは、「現実世界の複雑な仕組みやデータを、コンピュータで扱えるように簡略化・数式化したもの」を指します。AIにおけるモデルは、人間でいう「知識」や「学習済みの脳」にあたります。

基本情報技術者試験でもよく登場する、AIモデルの代表例です。
  • 予測モデル(回帰モデル)
    • 役割: 数値を予測する。
    • : 過去の気温とアイスの売上データから、「明日、気温が30度ならアイスは何個売れるか」を計算する数式モデル。

  • 分類モデル
    • 役割: グループやラベルを判定する。
    • : 画像データを読み込み、「これは『犬』、これは『猫』」と見分ける境界線を持ったモデル。

  • 生成モデル(基盤モデル / LLM)
    • 役割: 新しい文章や画像を新しく作り出す。
    • : ChatGPTの裏側で動いているGPT-4などの「大規模言語モデル(LLM)」。大量の日本語を学習し、「次につながる確率が最も高い言葉」を出力する巨大な数式モデル。
基本情報技術者試験の科目Aなどで、モデルに関連してよく出題される用語です。
  • 学習済みモデル: すでに大量のデータで訓練が終わり、すぐに予測や判断ができる状態のモデル。
  • 過学習(オーバーフィッティング): 訓練データに過剰に適合しすぎて、新しいデータ(未知のデータ)に対して正しく予測できなくなってしまった「頭の固いモデル」のこと。
  • 汎化性能(はんかせいのう): 訓練データだけでなく、初めて見る新しいデータに対しても正しく予測できる、「実用性の高いモデル」の能力のこと。

ニューロンと活性化関数

ニューロンとは、脳の神経細胞をコンピュータ上で再現した「計算を行う最小単位(ノード)」のことです。
仕組みは非常にシンプルで、「複数の入力を受け取り、計算して、1つの出力を次のニューロンへ送る」という連鎖を行っています。
 
ニューロン内部で行われる「3つのステップ」は以下のとおりです。
  1. 重み付け(かけ算):入力された情報(\(x\))に、それぞれの重要度である「重み(\(w\))」を掛け算します。
  2. 足し算(総和):掛け算した結果をすべて合計し、さらに偏り具合を調整する「バイアス(\(b\))」を足します。
  3. 活性化関数(判断):足し算した合計値を「活性化関数」というフィルターに通して、最終的な出力(\(y\))を決定します。
活性化関数とは、ニューロンが計算した合計値を「次のニューロンにどれくらいの強さで伝達するか(発火させるか)」を判定するフィルター(関数)です。
人間で例えると、「ある噂話(入力情報)を聞いたとき、それを他人に話す(発火する)か、心の中に留めておく(発火しない)かを判断する基準」のようなものです。
もし活性化関数がないと、AIの計算は単なる「直線的な足し算と掛け算(線形変換)」だけになってしまいます。これでは、複雑な形をしたデータや、折れ曲がった境界線(非線形な問題)を分類することができません。活性化関数を通すことで、計算に「歪みや折れ曲がり(非線形性)」が加わり、AIが複雑な物事をパターン認識できるようになります。
 

生成AI

基本情報技術者試験(FE)における「生成AI(ジェネレーティブAI)」について解説します。
近年、FE試験のシラバス(出題範囲)では生成AIに関する問題が大幅に強化されています。科目A(知識問題)を中心に、仕組みからセキュリティリスクまで幅広く狙われるため、重要なキーワードを押さえておきましょう。
 
従来のAIが「データの分類」や「数値の予測」を得意としていたのに対し、生成AIは「テキスト、画像、プログラム、音声などの新しいコンテンツを自ら作り出す」ことができるAIです。
試験対策として、まずベースとなる以下の最重要キーワードを理解しましょう。
  • 基盤モデル(Foundation Model):膨大なデータを使ってあらかじめ網羅的に学習(事前学習)させた、汎用性の高い巨大なAIモデルのことです。
  • LLM(大規模言語モデル):基盤モデルの一種で、大量のテキストデータを学習し、人間のような自然な文章を生成・理解するAI(ChatGPTなど)のことです。

プロンプト

プロンプトとは、生成AI(LLMなど)に対してユーザーが入力する「指示文」や「質問文」のテキストのことです。
AIは、このプロンプトとして与えられた文字列の文脈を解析し、それに続く「最も確率的に妥当な文章や回答」を予測して出力します。
  • プロンプトインジェクション(Prompt Injection)
    • 概要: AIへの指示文の中に悪意のある命令を「注入(インジェクション)」し、AIシステムの制限をすり抜ける攻撃です。
    • リスク: 本来は回答してはいけない「システム裏側の機密情報」を暴露させたり、不適切な差別発言を出力させたりします。

  • プロンプトリーク(Prompt Leaking)
    • 概要: プロンプトインジェクションの一種で、開発者がシステムにあらかじめ設定している「内部の前提指示(システムプロンプト)」を盗み出す(リークさせる)攻撃です。

プロンプトの精度を高めるための技術や、新しく生まれた職種のキーワードです。
  • プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering)
    • AIからより正確で望ましい回答を引き出すために、プロンプトの構造や命令の仕方を工夫・設計する技術のことです。

  • プロンプトエンジニア
    • 上記の「プロンプトエンジニアリング」を専門に行い、AIの出力を最適化する新しい職種のことです。

  • インコンテキストラーニング(In-Context Learning)
    • AIのモデル自体を追加学習(ファインチューニング)させるのではなく、プロンプトの中にいくつか「具体例(手本)」を書いておくことで、その場でAIの回答精度を劇的に向上させる手法です(Few-shotプロンプティングとも呼ばれます)。

ディープフェイクとハルシネーション

基本情報技術者試験(FE)において、生成AIの急速な普及に伴い「AIの負の側面(リスク・脅威)」としてシラバスに追加された2大重要キーワード、「ディープフェイク」「ハルシネーション」について解説します。

ディープフェイク

ディープフェイクとは、ディープラーニング(深層学習)とフェイク(偽物)を組み合わせた造語で、AIを用いて本物そっくりに作成された偽の動画、画像、音声のことです。
  • なりすまし・詐欺: 経営者や親族の「偽の音声」や「偽のビデオ通話」をAIで合成し、不正な送金指示を出す詐欺(ビジネスメール詐欺の高度化)に悪用されます。
  • 世論誘導・偽情報の拡散: 政治家が実際には言っていない発言の動画を作り、SNSで拡散させて社会的混乱を招くリスクが指摘されています。
  • 対策技術: ディープフェイクを見破るための「偽動画検知AI」や、デジタルコンテンツの信頼性を証明する技術(デジタル署名など)の開発が進められています。

ハルシネーション(Hallucination)

ハルシネーションとは、直訳すると「幻覚」という意味で、生成AI(LLMなど)が、事実とは異なる誤った情報を、まるでもっともらしい(正しい)ことのように出力してしまう現象のことです。
  • 発生の原因: 大規模言語モデル(LLM)は「過去のデータから、次に続く確率が最も高い言葉」を予測して文章を作っているため、内容の「真実性」を自ら確認しているわけではないからです。
  • 業務上のリスク: AIが生成したプログラムコードや契約書のチェックを人間に怠ると、存在しないバグや架空の法律条文が紛れ込む危険があります。
  • 試験に出る対策手法(重要):
    • RAG(検索拡張生成): 回答直前に外部の信頼できるデータベースを検索し、その最新・事実情報をもとにAIに文章を作らせることで、ハルシネーションを大幅に減らすことができます。

 

以下の整理・理解をしておきましょう。

  • 「本物そっくりの偽画像・偽動画を作り出す」ディープフェイク
  • 「AIがもっともらしい嘘(事実誤認)を出力する」ハルシネーション

基盤モデル

基本情報技術者試験(FE)において、生成AIの土台を支える重要キーワードである「基盤モデル(Foundation Model)」について解説します。
基盤モデルとは、「膨大なデータを使ってあらかじめ学習(事前学習)させておくことで、様々な応用タスクに利用できるようにした、汎用性の高い巨大なAIモデル」のことです。
これまでのAIと、基盤モデルが登場した現在のAIでは、作り方が根本的に変わりました。
  • 従来のAI:「犬と猫を見分けるAI」「翻訳をするAI」など、目的ごとに1から個別のAIを作っていました。
  • 基盤モデルのAI:まず「何でもできる超巨大な脳(基盤モデル)」を1つ作り、それをベースにして、簡単な調整だけで色々な目的(文章要約、画像生成、プログラミングなど)に使い回しをします。
基盤モデルには次の特徴があります。
① 膨大なデータによる「事前学習」
インターネット上のテキストや画像など、人間の一生では読みきれないほどの「莫大なデータ」を事前に学習しています。
② 高い「汎用性」
1つのモデルでありながら、指示(プロンプト)を変えるだけで、文章生成、翻訳、要約、プログラムの作成、感情分析など、まったく異なる複数の作業をこなせます。
③ 応用(カスタマイズ)のしやすさ
基盤モデルをベースにすることで、1からAIを開発するよりも、はるかに少ないデータと時間で専門特化型AIを作ることができます。このカスタマイズ手法として、以下の2つが試験に直結します。
  • ファインキューニング:基盤モデルに専門データを追加学習させ、モデルの中身(パラメーター)自体を書き換える手法。
  • RAG(検索拡張生成):モデルの中身は変えず、外部データベースの検索結果を組み合わせる手法。
 

ファインチューニング

ファインチューニングとは、すでに大量のデータで学習を終えている「基盤モデル(学習済みモデル)」に対して、特定の専門データを追加で学習させ、モデルの中身(パラメーター)を書き換える手法のことです。 人間で例えると、「一般教養を身につけた大学生(基盤モデル)」に、自社のマニュアルや専門書を猛勉強させて「自社専属のプロフェッショナル」へ育てるようなイメージです。

メリット
  • 専門特化できる:医療、法律、自社独自の社内用語など、一般的なAIが知らない専門知識に深く対応できます。
  • 回答の「トーン(口調)」や「出力形式」を固定できる:常に「〜です・〜ます」調で答えさせたり、特定のJSON形式などのプログラム用データで出力させたりする制限が得意です。
デメリット(ここが試験で狙われます)
  • コスト(時間・お金)がかかる:モデルの内部数値を再計算(追加学習)するため、高性能なコンピュータ(GPU)と時間が必要です。
  • データの「即時性」がない:学習が終わった後に新しくできた社内ルールや、毎日のように変わる株価などの「最新情報」にリアルタイムで追いつくことができません(再度学習し直す必要があります)。